- 売上高、コア営業利益、コア四半期純利益はいずれも減少
- 利益減少要因は、売上減少とコスト上昇の両方
- ただしコスト上昇は為替の影響が大きい
- 主要3領域の売上は全て増
- 合計3744億(前年同期3536億)だから全体で見れば+5.8%
- つまり、今年度売上減少の要因は「主要3領域」以外にある
- 各製品の詳細
- がん領域(イクスタンジ)は米国以外の全地域で拡大
- 泌尿器OABは、ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの3つは全地域で拡大下が、ベシケアは売上減
- 移植は、EMEAとアジア・オセアニアで拡大
地域別
- アジア・オセアニア以外の地域は全て売上減
- アジア・オセアニアが売上高に占める割合が6.8%(前年同期) → 8.4%へ上昇
キャッシュ・フロー
- 営業活動で1153億増
- 投資で727億減(うちOgeda SA買収が616億)
- 財務で859億減(うち自己株式取得が502億)
研究開発費
- 第2四半期累計で1075億(前年同期比7.8%増)
- 対売上高研究開発費比率は1.5ポイント上昇し、16.8%
主要株主
- 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)
- 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口)
- 日本生命保険相互会社(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行株式会社)
日本マスタートラストとかよく見るけどなんなのか調べたらこういうことだった。
これらの信託銀行が主要株主にいる意味はなんだろう?
- 業績が安定している
- 配当がある??(こういうところが配当目的で買うなら)
財務諸表で気になったところ
- その他の収益が大幅増
- 注記5によると「IMAB362の開発の進捗に係る条件付対価の公正価値の変動」によるもの
- 2016.10.28のニュースリリースに買いてあった。
- 要するにGenymed社のIMAB362の開発が期待どおり進展したから(最大で)8億6000万ユーロ支払った → そのぶん資産価値上昇ってこと?
- その他の費用が大幅増
注記6によると以下の3つが主な費用
- 米国子会社株式の他社への譲渡に伴い、当該子会社が保有する建物等につき7,615百万円の減損損失
- 仕掛中の研究開発であるIMAB362に関して26,824百万円の減損損失
- 米国子会社であるアジェンシス Inc.の研究活動を終了する事に伴い、当該子会社の買収時に発生したのれんにつ き7,214百万円の減損損失
1はそのまま。3は要するにアジェンシスの研究がうまくいかなかったから、買収時に見積もっていた資産より下がったのでその分減損処理ってこと。2はどういうことなんだろう?その他の収益のところで「IMAB362の開発の進捗に係る条件付対価の公正価値の変動」による収益を認識とあるから、少なくとも開発は進んでいるはず。ただ、買収時に見込んでいたほどの価値がなくて減損損失ってこと??
- 包括利益計算書(第2四半期累計)
- 包括利益の内訳を前年同期と比較すると、当期純利益は減っているけど、それ以外は全部増えている。
- 包括利益計算書とは?
上のサイトから引用すると、
包括利益とは、ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引(=資本取引)によらない部分のことを指します(包括基準4項)。
資本取引(増資とか)で増えた場合以外の純資産増加分は全部「包括利益」。例えば当期純利益や会社が持っている株の価格変動とか為替差益など。
内訳をみると特に「在外営業活動体の換算差額」っていうのが増えている。よくわからなかったから調べた。これは外国にある支社・子会社の純資産の増減を円に換算した場合のもの。ドル円は去年の9月に比べて今年は10円ぐらい円安になっているし、ユーロ円は20円ぐらい円安になっているので、支社・子会社の純資産が増えたというよりは為替の影響が強そう。
第2四半期累計包括利益の合計(p12の下の方)をみると、去年が2,662百万で今年は164,168百万だから大幅増だけど、この増分の多くは為替の変動によるもので、当期純利益自体は減少しているということか。
- 財政状態計算書
- 日本でいう貸借対照表のこと。アステラスはIFRSを採用しているので財政状態計算書という。が、まったく同じではないらしい。
- 資本の欄の自己株式がマイナスになっているのは、自社株買いをしているため。
- 持分変動計算書
- 株主資本変動計算書のこと。
- これを見れば純資産の変動がわかるらしい。